小さなチーム、大きな仕事(続)

小さなチーム、大きな仕事 - maru sourceの続きです。
あまりにも心に残ったところが多かったので、エントリーを分けての更新です。

本紹介

  • p101

- けんかを売る -


もし競合相手が最低だと思ったらそう言おう。そうすれば、あなたに同意する人があなたの側に集まってくるのが分かるだろう。アンチでいることは、あなた自身を差別化し、人を惹きつけるのに非常に良い方法だ。

相手をじっくり研究してから言ったほうが良いと思うけど、自分が使いにくいと思ったサービスは少なからず同じ意見を持つ人がいるんだろうな。

  • p103

- 競合相手以下のことしかしない -


競合相手を打ち負かすには、相手よりもひとつ上を行かなければならないという決まり文句がある。もし相手が4つの特徴を持っていたとしたら、あなたには5つ(または15か25)必要だ。もし相手が2万ドル費やしているとしたら、あなたは3万ドル費やさなければならない。もし相手に従業員が50人いれば、あなたの会社には100人いなければならない。


このようなひとつ上をいく冷戦のような考え方は行き詰る。軍拡競争に巻き込まれたときに行き着く先は莫大な量の資金と時間と意欲を消耗する終わることの無い戦いだ。守りに入った会社は先を考えることができず、あとから考えることしかできない。そうした会社はリードすることがなく、追いかけるだけだ。


だとすると、代わりに何をしたら良いのだろうか?競合相手を打ち負かすには、なにごとも相手よりも「少なく」しかしないのだ。簡単な問題を解決して、競合相手には危険で難しくて扱いにくい問題を残す。ひとつ上を行く代わりに、ひとつ下回るようにしてみよう。やりすぎるかわりに、やっていることが相手低下となるようにしてみよう。

ちょっと長い引用になってしまった。でもシンプルにしよう!というメッセージが皮肉たっぷりに書かれているので、引用せずにはいられませんでした。

  • p111

- 基本的に「ノー」と言おう -


顧客の要求に譲歩したくないのであれば、礼儀正しくその理由を説明しよう。(中略)彼らをあなたの考え方に納得させることさえできるかもしれない。それができなかったら、より良い解決策を持つ競合他社を推薦しよう。人々があなたの製品を使って不満を抱くよりも、他社の製品を使ってもらい満足してもらったほうが良い。


あなたのゴールは製品があなたにとって正しいものであり続けることだ。あなたが最もそれを信じなくてはいけない。だからこそ「僕はこれが気に入っているから、君もこれが気に入ると思うよ」と言うことができるのだ。

特に後半が重要だと思う。自分が作ったものを自分が信じれなく(好きでいられなく)なってしまったら終わりだ。開発者でもあるけでユーザでもあれ。でも注意しないといけないのは、自分勝手な製品にならないようにすること。良いアイデアは素直に受け入れる。

  • p113

- 顧客を(あなたよりも)成長させよう -


何人かを満足させるために上級者向け機能を加えることは、まだなれていない人たちを怖気づかせてしまう。新規顧客を恐れさせてとおざけてしまうことは、昔からの顧客を失うことより悪いと僕らは考える。


顧客があなたを追い抜けるようにすると、ほとんどの場合、基本的な製品に行き着くだろう。それで構わない。小さくて、シンプルで、基本的なものへのニーズは不変だ。まさにそれを必要としている顧客の供給は際限なくある。


そして常に、あなたの製品を使っている人よりもつかっていない人のほうが多く存在する。こうした人たちが使い始めることができるように簡単になっていることを確かめよう。

確かに昔からの顧客の要望にあわせて、上級機能を色々付け足していくのはありそう。ってか絶対にあるよね。でもそこは(前引用と同じく)「ノー」と言いなさいと。製品を複雑で難しいものにして新規顧客(そしてそちらのほうが多い)を逃すようなことはしてはいけないと。

  • p114

- 熱意を優先順位と混同するな -


すばらしいアイデアを思いつくと高揚がもたらされる。可能性と利益を思い描き始める。そしてもちろん、それらをすべてすぐに得たいと思う。そのため、他に行っているすべての事をやめ、最後に思いついた「一番すばらしい」アイデアを追い求め始める。


これは悪い一歩だ。新しいアイデアへの熱意は、そのアイデアが持つ本当の価値の正確な指標では無い。たった今、確かなひらめきが生まれたように見えたものも、次の朝にはただの「あってもいい考え」に格下げとなっていることもある。そして「あってもいい考え」には、他の全てのことを延期するほどの価値は無い。


(中略)


だからまず「すばらしいアイデア」はしばらく棚に上げておこう。多くの「すばらしいアイデア」を思いつくことは良いことだ。ひらめきに刺激され興奮することも良い。だが、瞬時の熱意に押されて行動してはいけない。アイデアを書き留めて、何日か棚に上げておこう。落ち着いてから、そのアイデアの優先順位を評価してみるのだ。

アイデアもカレーも一晩寝かせたほうが良いということですね!

  • p117

- 顧客の声を書き留めてはいけない -


顧客が求めているものをどのようにして追跡し続ければいいのだろうか?そんなことはしなくていい。顧客には耳を傾けるが、そのあとは人々が言ったことは忘れてしまうほうがいい。これはマジな話。


(中略)


本当に気にしなければいけない顧客の要求はあなたが繰り返し聞くことになるものだ。しばらくすると、それらを忘れられなくなる。


(中略)


あなたがいつも忘れているなら、それは重要ではないというサインだ。本当に重要なものは消えてしまったりはしない。

顧客自身も自分達が真に何を欲しいのかがわかっていないという話をモノの本でよく見ます。真に欲しいものを見つけるために、顧客の言うことを忘れる。矛盾してる気がするけど、マジな話。

  • p121

- 観客をつくる -


10年以上にわたり僕たちはブログ「シグナルVSノイズ」で、毎日10万人以上の読者、つまりは観客を築いてきた。

(中略)


そしてもち、彼らが僕たちのメッセージに共感してくれるのであれば、きっと僕たちが売る物にも共感を示してくれるはずだ。

Signal vs. Noise読みたいけど、英語が。。。頑張ってみるか。

  • p129

- プレスリリースはスパム -


誰かに効果があるだろうと、多くの見知らぬ人たちに無差別に送りつけられるものを何と呼ぶか知っているだろうか?スパムだ。それは実際にプレスリリースがやっていることだ。


(中略)


記者の元には1日何十ものプレスリリースが届く。それらは結局、誇張された見出しやCEOのいかにもな言葉の山だ。どれもこれも、驚異的、革命的、画期的で、驚くべきと書かれている。気が遠くなる。


(中略)


プレスリリースは忘れて電話をかけよう。もしくは個人宛に手紙を書こう。もし似たような企業や製品の記事を見つけたら、それを書いた記者に連絡を取り、自分の情熱や興味を伝えるのだ。

確かに「個人」に「電話」や「手紙」をすると効果がありそう。でも口下手で字が汚い僕はどうすれば?(苦笑)
そういやTooxをリリースしたとき、初めてプレスを送ったなー。といっても数人のブロガーに。結局取り上げてもらえなかったけど。

  • p132

- ドラッグの売人の方法は正しい -


ドラッグの売人は、抜け目のないビジネスマンだ。彼らは、自分の商品がすばらしいことを知っているので、先に少量を無料で提供する。あとで初期投資以上のものが(現金で)戻ってくるとわかっているのだ。


この姿勢をまねてみよう。自分の商品を、少し無料で使ってもらっても後で現金で回収できるほどいいもの、熱中してもらえるもの、「手放せないもの」に変えるのだ。
こう考えると商品のミニ版があるほうが有利だ。売ろうとしているものにお試しキットが必要になる。人々がお金や時間を使わずに試せるようなものだ。

今読んでるフリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略でも同じビジネスモデルが書かれてたな。でも「手放せないもの」に変えるなんて、37signalsだからいえるんだよ!!世の中には無料で高機能なものがたくさんある。それらをシンプルで使いやすいもので上回って、しかもお金を取るのは至難の業だよな。
37signalsの代表製品Basecampは1ヶ月$24〜。無料のミニ版はなかったけど30日のフリートライアルがある。サイボウズのガルーンも調べようと思ってサイトを見たけど、分からなかった。。。

  • p144

- 経験年数は意味がない -


人を雇うときにある程度の経験が指標になることもある。半年から一年の経験がある人を雇うのは確かに意味がある。


(中略)


だがその後、成長曲線は平らになる。驚くべきことに半年の経験と6年の経験は大差ない。本当の差は、応募者自身の熱意や個性、知性に表れる。


(中略)


経験の長さは過大評価されている。大切なのは、どのくらい質の高いことをしていたのかだ。

「大切なのは、どのくらい質の高いことをしていたのかだ。」グサリ。だらだらネットしてる場合じゃねー!

  • p161

- 文句は放っておく -


新しい機能を紹介する、方針を変える、何かを削除するといったことの直後は必ず反動があるものだ。それに対応するためにパニックに陥ったり、すぐに前言を撤回したりする必要はない。感情的な反発は最初に起こる。それが普通。最初の1週間を乗り切れば、落ち着くものだ。

そういえばGoogleの検索結果の左側に表示されるメニュー、導入された当初は結構反発の記事があったなー。僕も「これはうざい」と思ってたけど、今じゃ便利に使ってる(笑)

  • p168

- 五時に帰宅させる -


多くの会社では、仕事以外にやることがなく、一日十四時間働いて机の下で寝るような二十代が理想的な社員だ。


だが、部屋いっぱいにそんな連中を集めても思いのほかうまくいかない。


(中略)


仕事が社員の人生のすべてであってはならない。特に彼らに長く働いて欲しいのなら。

効率のいい方法を見つけて、仕事を早く終わらせようという話。そのためには仕事以外に生きがいを持ってるほうが良いよと。

  • p171

- あなたらしく話す -


メールの終わりに「このメールは機密情報を含みうるので受取人以外への転送・回覧はご遠慮ください。」なんて文言を社員につけさせてはいけない。会社のメールすべてに「あなたを信用していません。文句があるなら裁判所で会いましょう」とメッセージを入れるも同様だ。

これは吹いたw確かにフッターにこう書いてあると、無意識に壁を感じるかも。

  • p172

- 「なるたけ早く」は毒 -


「なるたけ早く」と連呼してはいけない。そんなことはわかってる。皆なんでもできるだけ早くやってもらいたいものだ。


どんな要請の終わりにもいちいち「なる早で」と付けていたら、すべての要請が最重要だといっているのと同じだ。もし全てが最重要であるのならば、何も最重要ではないということになってしまう。

特に営業さんは「なる早で」って言われてるんだろうな。そしてそれが開発にも。。。「なる早で」怖いよ。

  • p174

- ひらめきには賞味期限がある -


ひらめきとは不思議なものだ。生産性を高め、やる気をあおる。だが、待っていてはくれない。

ひらめきてー!そんで作りてー!




本当、感激する本だった。シンプル好きな僕にはたまらない一品でしたよ。でも僕がいきなりこの本の真似をすると、失敗するのは分かってるw僕はまだシンプルという名の低レベルなものしか作れない。そうじゃなくて高レベルなものも作れるけど余分な機能をそぎ落として、真にシンプルなものを作れるようになって初めて、37signalsのようになれるんだろうな。修行必要だな。
そういや37signalsのような会社って日本にもあるのかな?あればその製品使ってみたいなー。