天才数学者たちが挑んだ最大の難問-フェルマーの最終定理が解けるまで-


この本は17世紀にフランスの数学者ピエール・ド・フェルマーが書き残した定理が解かれるまでの物語です。数多の数学者がこの定理の証明に挑みましたが、そのすべての数学者に解かれることはありませんでした。しかし300年以上たった、1995年にアンドリュー・ワイルズによってついに証明されました。
フェルマーが書き残した定理とは以下のようなもので、「フェルマーの最終定理」と呼ばれています。

3以上の自然数nについて、x^n + y^n = z^nとなる0でない自然数(x,y,z)の組み合わせがない


この本は難しい数式を使った説明というわけではありません。フィルマーの最終定理のルーツ(紀元前20000年古代バビロニアにまでさかのぼる)を軸に、この定理を証明するのに使われた数々の数学理論を作り出してきたピタゴラスディオファントスオイラーガウスフーリエガロアポアンカレ、谷山、志村、フライ、ワイルズなどの歴史に名を残した数学者たちの物語であり、数学史ともいえる内容です。はっきり言って中盤以降、僕には全然わかりません。それでも十分に楽しめる内容です。


フェルマーの最終定理それ自体は中学生でもわかるものですが、それを証明しようとすると紀元前から現代まで築かれてきた数学すべてを総動員して解かれるという非常に難解なものだったのです。ではなぜ17世紀のフェルマーはその定理を見つけることができたのでしょうか。実は定理を書き残したページ(フェルマーは本の余白に数学的アイデアを書き残す癖があった)には以下のように書かれていたのです。

n が 3 以上のとき、n 乗数を2つの n 乗数の和に分けることはできない。この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる

つまり、フェルマー自身は定理の証明を書き残していなかったのです。本当にフェルマーが証明を手にしていたのかは永遠に謎ですが、この本では以下のように書かれています。

フェルマーの最終定理のこの証明は実際には、20世紀に生きた非常に多くの数学者たちがーそしてフェルマー自身を含め20世紀以前のすべての先駆的数学者たちー達成した成果の結晶なのである。ワイルズは、フェルマーが余白にその有名なメモを書いたときには、おそらくこのような証明は頭にあり得なかっただろうと言う。もちろん、それが真実だろう。


この本を読むと数学全体がフェルマーの最終定理を証明するために発展してきたような錯覚に陥ってしまいます。数多の天才数学者たちが300年の長いときを使い、協力しながら証明したという感じでしょうか。非常にわくわくしますね。少しでも興味を持たれた方は読んでみてください。薄い本なので、すぐに読めると思います。



フェルマーの最終定理について詳しくはこちら
フェルマーの最終定理 - Wikipedia

数学の面白い話

フェルマーの最終定理とは直接関係無い内容ですが、読んでいて面白かった数学の話をメモしておきます。

  • 完全数

「約数の和になる数」
例えば6(1+2+3=6)、28(1+2+4+7+14=28)などがそうである。

  • 平方数は奇数の数列の和

1 = 1
4 = 1 + 3
9 = 1 + 3 + 5
16 = 1 + 3 + 5 + 7

この本では図形を用いて視覚的に証明していましたが、数式的には以下のようにして証明できると思います。
(自分で考えた証明なので、誤りがあれば教えてください)

n番目の平方数を以下のように表します。
x(n) = n x n (n > 0)


x(1) = 1 x 1 = 1となり、x(1)は奇数数列の和となります。... (1)


またk+1番目の平方数は以下のように表されます。
x(k+1) = (k+1)(k+1) = k^2 + 2k + 1 = x(k) + (2k + 1) = x(k) + (k+1番目の奇数)... (2)


上記(1) , (2)よりn番目の平方数はn番目までの奇数の総和となる。

1つがいのウサギから始め、毎月各つがいが新しい1つがいを産み、そのつがいも生まれて2ヶ月後から新しいつがいを産むようになるとすれば、1年で何つがいのウサギが産まれるか。

この問題を解くための数列がフィボナッチ数列となり、この数列の隣り合う各項の比が黄金比に近づいていきます。
ちなみに僕はこの問題を以下のように考えました。

nヶ月目の産まれたつがいの総数をS(n)と表します。
例えば以下のようになります。
S(0) = 1
S(1) = 1
S(2) = 2
S(3) = 3


ここでnヶ月目のつがいは「(n - 2)ヶ月目のつがいを倍にした数」と「(n -1)ヶ月目のつがいから(n -2)ヶ月目のつがいを引いた数」の合計となります。
式で書くと以下のように表されます。
S(n) = { 2 x S(n - 2) } + { S(n - 1) - S(n - 2) } = S(n -2) + S(n -1)
つまり、S(n)は前2項の和からもとめることができます。
S(0) = 1
S(1) = 1
S(2) = 2
S(3) = 3
S(4) = 5
S(5) = 8
S(6) = 13
S(7) = 21
S(8) = 34
S(9) = 55
S(10) = 89
S(11) = 144
S(12) = 233

フィボナッチ数列についてはこちら
フィボナッチ数 - Wikipedia

オイラーは、人が呼吸をするように自然に計算ができたと言われている。

...

オイラーはパリのアカデミーが懸賞問題として出した天文学上の難問を解いた。多くの数学者たちが、この問題に取り組むためアカデミーに数ヶ月の休暇を申請したのに対し、オイラーは三日間でそれを解いた。しかし、根を詰めすぎたために、彼は右目の視力を失ってしまった。

(つд⊂)ゴシゴシ


(;゚д゚)


ちなみにオイラーは以下の公式を愛し、最高の美として考えていたそうです。

e^(iπ) + 1 = 0




数学苦手じゃない人は是非。