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「技術は手段」について考える

こんにちは丸山@です。

「技術は手段」という言葉を聞くことが有ります。何が目的で何が手段かを忘れないようにして、あくまでも目的を重視して仕事などのプロジェクトを遂行するべきというフレーズとして使われているように思います。私の身の回りでもこの言葉をたまに聞くのですが、聞くたびにモヤモヤしていました。なぜモヤモヤしているのかスッキリしたいと思いこの言葉について考えてみることにしました。

というわけでまずはこの言葉が使われそうなシチュエーションをちょっと極端な例だけど考えてみました。


「顧客第一」を掲げている会社のマネージャXは部下のエンジニアからこんな相談を受けました。

例1

  • エンジニアA「プロジェクトに◯◯という技術を導入したいです!」
  • マネージャX「なぜ◯◯を導入したいんだい?」
  • エンジニアA「最近流行ってるからこれからは◯◯が来そうかなと思って」
  • マネージャX「そんな理由では導入を許可できないな」
  • エンジニアA「そうですか...(頭が硬いマネージャだ)」
  • マネージャX(技術はただの手段だというのに、技術を目的としているやつは困るな)

例2

  • エンジニアB「このプロジェクトの機能Zをライブラリにするための工数をください」
  • マネージャX「ライブラリにするとどうなるんだい?」
  • エンジニアB「他のプロジェクトでも使えるようになりますね」
  • マネージャX「でも機能Zは他のプロジェクトでは使わないよね?」
  • エンジニアB「うーん、ライブラリにするとコードも綺麗になって良いと思うんですが」
  • マネージャX「そういう理由では工数を割くことはできないな」
  • エンジニアB「そうですか...(エンジニアの気持ちがわかってないマネージャだ)」
  • マネージャX(技術はただの手段だというのに、技術を目的としているやつは困るな)

例1, 例2ではマネージャXは部下のエンジニアからの相談を退けています。内心は「”技術”は会社の目的である”顧客第一”を達成するための手段なのに、”技術”を目的としているから困る」と思っていることでしょう。

一方、エンジニアAは「◯◯を勉強するという目的があり、それを達成するためにプロジェクトに導入するという手段を取ろうとした」と見受けられます。エンジニアBは「ライブラリとして切り出すことでコードを綺麗にする目的があり、それを達成するためにリファクタリングという手段をとろうとした」という感じでしょうか。

この例からわかるようにエンジニアAもBも目的を持っており、その目的を達成する手段を行使しようとしたにすぎません。さらに技術が目的(エンジニアA)にも手段(エンジニアB)のどちらにもなっています。つまり「技術は手段」という言葉は正しいが同時に「技術は目的」ということにもなりえるのです。それもそのはずです。なぜなら多くの物事は目的でもあり手段でもあるからです。

一般的にある目的を達成するにはより下位の目的を複数達成することで得られます。そしてその下位の目的は上位の目的の手段でもあるのです。つまりこんなかんじの階層構造になります。 f:id:h13i32maru:20141227222421p:plain

              目的の階層構造

ここでマネージャXが所属している会社について考えてみます。その会社では「顧客第一を達成するため(目的)、技術(手段)を使う」だと考えています。しかしこれは切り口を変えると「会社の利益を上げるため(目的)、顧客第一(手段)を用いる」や「ある技術を導入するため(目的)、上司を説得する(手段)」などにもなります。つまりある切り口では目的だったものが別の切り口では手段になるのです。

というわけで「技術は手段」という言葉は「目的の階層構造」を特定の切り口で見た場合のことであり、別の切り口で見ると「技術は目的」にもなりえるのです。つまり「技術は手段」という言葉自体は至極当然のことを言っていることになります。

ではマネージャXが本当に言いたいことはなんなのか?それは「エンジニアにはその技術が会社の目的を達成するのにどう貢献するのか説明を行う責任がある」ということなんだと僕は考えています。この責任を果たすには自分が今どんな目的をどんな手段で達成すべきなのかを正確に把握しておく必要があります。そして会社に所属している各々が自分の役割(エンジニア、営業、デザイナー、マネージャー等)を通して個別に目的を達成することで、会社全体としての大きな目的を達成することができます*1

ちなみに会社組織の話ではなく一個人でやっていることの場合、会社の目的を考える義務も責任もありません。個人でやってる人の中でも技術は手段と考えている人もたくさんいると思いますが目的が違うのだからそれは当然のことです(個人でやっていることがお金に結びつくかどうかはまた別のお話)。


と、ここまでで「技術は手段」についての考察は終わりです。少し話は変わりますが、就活や転職活動において 技術そのものが好きな人がどのように見られるか、扱われるかという点もよく話題となります。この点についてもわりともやっとするので状況例を考えてなぜもやっとするのか?を考えてみます。

「技術そのものが好き」というのはなんだかネガティブな印象をもったり、引け目を感じたりします。でもそんなことは全くないはずです。

例えばエンジニアNとエンジニアMがいて両方共全く同じ技術力、ビジネススキル、会社への考え方を持っているとします。エンジニアNは技術そのものが好きで休日も趣味でコードを書いたりハードウェアをいじって遊んでいます。一方エンジニアMは技術を単なる仕事として捉えており、休日はコードを書いたりせず他の趣味をしています。この二人のうちどちらかを雇うとしたらそれは一概には決められません。会社の文化や考え方、面接官の好みなどが複雑に絡まってきます。つまり「技術そのものが好き」という点については有利になることはあれ、不利になることは無いはずです。

ではなぜ引け目に感じてしまうのかというと、「技術そのものが好き」というのは「技術のことだけしか考えない」という印象を与えてしまうからだと考えています。つまり会社で働いている時は技術のことだけではなく会社の目的や利益についても考えないといけないはずなのに。だから「技術そのものが好き」というのは全く引け目を感じなくて良いはずです。「技術のことだけしか考えない」というのはちょっと考えなおしたほうが良いかもしれないですが*2

だけど「技術そのものが好き」でかつ会社のこともちゃんと考えているというエンジニアはやっぱり貴重な気がしますね*3

というわけでモヤモヤしていたものがスッキリしました。

*1:これも言われてみれば当たり前のことですね

*2:とはいえ世の中には技術のことだけを考えている天才もいて活躍しているんだろうな

*3:それを突き詰めていくとCTOなのかな