一緒に働いているチームメンバーに評価してもらう

昨年から、マネージャーとしての僕を一緒に働いているチームメンバーに評価してもらうというのをはじめました。評価方法は50個ほどの質問項目が書かれたアンケートに1点(No)〜4点(Yes)をつけてもらうというものです。人数は10人くらいです。 質問項目の詳細は最後に掲載します。

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この取組は会社でオフィシャルに実施してるわけではなくて、あくまでも僕が個人的に取り組んでいるものです。

何故始めたのか?

ここ数年はリーダーやマネージャーという役割をやるようになり、以下のようなことに困っていました。

  • マネージャーが成長するには自分の上司からの評価だけでは不十分
    • 一緒に仕事をし、影響を及ぼし合っているのはチームメンバーである
  • 評価者と被評価者が非対称の関係になっており、評価する側が偉いみたいになってくる
    • リーダーやマネージャーは上下関係というより役割だと思っているので、そうはなりたくない
  • そういう役割をやったり、年を取ると周りからフィードバックを徐々にもらえなくなってくる
    • まあこれは自分だって、同じ年代の同僚に普段からフィードバックするかと言われるとしないよなぁと

そんなときにWORK RULESにマネージャーに対するメンバーからの評価について書かれているのを読みました。 これはいい方法だと思い、取り組むことにしました。

やり方

まずは質問項目を作ります。僕はいくつかの点に気をつけて質問項目を作っていますが、まだまだ改善できるきがします。 こういうのを専門に取り扱っている人事系の会社とかも多分あると思います。

  • 具体的すぎる質問だとメンバーからのフィードバックの幅が狭くなる
  • かといって抽象的すぎるとどう判断したらいいのかわからなくなる
  • フリーテキストや質問項目自体に対するフィードバックももらえるようにする
  • 点数は中間が無いように1〜4とする
  • 集計しやすいように点数が大きい方が良いとなるような質問の仕方にする

次に質問をメンバーの人に配ります。僕はGoogleフォーム使ってアンケートを作ります。なんですが、次からはGoogle スプレッドシートを個別に配る方法に変える予定です。後述しますが、期待値というものを取り入れるためです。

実際に質問に答えてもらったあとは、点数が低かったところについて個別に話を聞かせてもらう場を設けます。 つまり匿名ではなく記名してもらうことになります。なので、メンバーとある程度の信頼関係を築けていないと難しいです。

信頼関係の話については、現職主催のテックカンファレンスで登壇したときに話をしたので、興味のある人は見てみてください。 チームでプロダクト開発をするための取り組み

改善

僕は「質問項目」に対して「評価値としての点数」をつけてもらいましたが、それに加えて「期待値としての点数」もつけてもらうのが良いと思い始めました。例えばこんな感じです。

  • プロダクトの検証スピードを意識しているか?
    • 期待値: 1点〜4点
    • 評価値: 1点〜4点

こうやって期待値も聞くことで、期待値と評価値のギャップを元に以下のようにアクションをとることができます。

  • 期待値が高くて
    • 評価値も高い(ギャップがない) → OK
    • 評価値が低い(ネガティブギャップ) → 重視して改善する
  • 期待値が低くて
    • 評価値は高い(ポジティブギャップ) → OK
    • 評価値も低い → ギャップはないけど、期待値が低くて良いのか検討する
      • 低いとダメだと思うものは、期待値を持ってもらえるようにメンバーと話をする

それと、このアンケートという手法で評価してもらうのは色々なところで使えます。僕はメンバーとの目標設定後に、目標設定自体についてのアンケートを取りました。

まとめ

僕のような新米マネージャーやマネジメントに片足突っ込んでる人で興味を持った人はやってみると良いと思います。 もちろんシニアなマネージャーの方もやってみると何か発見があるかもしれません。 ただし、この点数だけをあげようとしてメンバーの方ばかり向いてしまうのは本末転倒です。 あくまでも成果と成長を目的とした手段としてこの方法を使うと良いと思います。

余談

僕の評価には1点や2点がついた項目も多少ありますが*1、「私は丸山を他の社員にもお勧めする」という項目については満点をとれたので(凄く嬉しい)、全体としては大きな問題はない/良い期待値を持ってくれているんだろうなと少し自信が付きました。

こうやって自信をもてたことにより、マネジメントという仕事についてブログなどで自分の意見を書くことを過度に恐れることがなくなりました。 というのも、僕がマネジメントの自説やら意見などを書いてるのをメンバーが見たときに、実は僕に対して不満があるメンバーがいたときにそれこそ信頼を失ってしまうと思っているからです。

とはいえ、マネジメントについて頻繁に何か書きたいかと言われればそんなことはなく、今回のように凄く良い取り組みだなと思うものをたまに書ければ満足かなという感じです。

質問項目

この質問項目はCC0として公開するので、ご自由にお使いください。

xxは には自分自身の名前が入ります。

# プロダクトマネジメント
- xxはプロダクトの本質的な課題を伝えている
- xxはプロダクトの本質的な課題に対する解決策を伝えている
- xxはプロダクトの優先順位、やること/やらないことを伝えている
- xxはプロダクトを定量的に理解し、伝えている
- xxはプロダクトを定性的に理解し、伝えている
- xxはプロダクトの検証スピードを意識している
- xxはプロダクトの品質向上を意識している
- xxはプロダクトに対して長期的な投資を行っている
- xxはプロダクトから得られたナレッジを蓄積し共有している
- xxが示すプロダクトに納得感を持っている

# プロジェクトマネジメント
- xxは優先事項である結果/成果物にチームが集中できるようにしている
- xxは私/チームに権限や意思決定を移譲している
- xxは私/チームに上層部からえた関連情報を定期的に共有している
- xxはチームにリソースを十分配分している
- xxはスケジュールを適切に設計、管理している
- xxは必要なときに自らプロジェクトを進行している
- xxが行うプロジェクトマネジメントに納得感を持っている

# ピープルマネジメント
- xxは私の役割・目標を私に伝えている
- xxは私の成果・能力を正しく評価している
- xxは良いチーム・組織を作っている
- xxは私/チームが成果をあげるための実行可能なフィードバックをしている
- xxは私を1人の人間としてみて、敬意・思いやりをもって接している
- xxは私と私のキャリア/成長にかかわる有意義な話し合いをしている
- xxは私/チームの成功や満足度に関心や気遣いを示している
- "xxは私/チームと円滑にコミュニケーションしている    "
- xxは私のワークライフバランスの管理を阻害していない
- xxは職場を楽しく働きやすい環境にしている
- 私は責任・やりがいを持って働けている
- 私は私の給与に納得感を持っている
- xxは私の性格や人間性を理解している
- xxはオープンでフランクな態度を示している
- 私はチームの一員として一体感をもって仕事をできている
- チームメンバーは上下関係ではなく敬意をもって互いに接している
- チームの意思決定は迅速で、さまざまな視点が検討されている
- 私はxxのピープルマネジメントに納得感を持っている

# xx個人の能力
- xxは会社の状況を理解している
- xxは私/チームにアドバイスできるだけの技術知識を持っている
- xxは私/チームにアドバイスできるだけのデザイン知識を持っている
- xxは私/チームにアドバイスできるだけのビジネス知識を持っている
- xxは部署間連携を適切に行っている
- xxはxxの上長と適切に連携している
- xxはチームを超えた人たちを巻き込んでい仕事を進めている
- xxは早い決断・大きな決断を行っている
- xxは自身の能力向上を積極的に行っている
- xxは採用活動を積極的に行っている
- xxの考え方に違和感を持っているところはない
- 私はxxを他の社員にもお勧めする

# フリーテキスト
- この質問リストは自分で作ったので、追記/修正するとよい質問があれば是非教えて欲しいです。
- この他にもフィードバックすべき点があれば是非教えてください。感想/相談/良い点/悪い点/小さいこと/大きいこと/etc何でもOKです。

*1:つかないなんてことはないと思う